CASE 2 : Designer

デザイナー編

青天の霹靂

デザイナーIが会議に参加した時のことだった。
メンバー全員が集まったところで、ディレクターが神妙な面持ちで口を開いた。

顔アイコン

「……クローズが決定しました」

デザイナーIにとって、開発段階から携わってきたタイトルだ。
確かに、ソシャゲ業界は早ければ三ヶ月でゲームが終了する業界だ。
オープンから一年以上続いたのは、長いほうだろう。
だが、自分の関わるタイトルがクローズすることなど考えてもいなかった。

チーム解散

クローズが決定し、現タイトルに携わっていたメンバーは他タイトルへと再編成されていった。
必要最低限の人材で、クローズまでの残り二ヶ月を運営していくことになる。
デザイナーIもバナー作成をしつつ、他タイトルのタスクを請け負っていた。

忙しさは変わらない。
いや、むしろ新しい作業で覚えることが多い分、今のほうが忙しいかもしれない。
だが、やはり寂しい。

このタイトルは入社してから、ずっと関わってきたものだし、UI周りのデザインは全て自分の仕事だ。
クローズはしかたがないことだとしても、このまま終わりにしたくない。

せめてもの……

一ヶ月後にクローズするバナーが表示され、ネットでも話題になった。
そんななか、デザイナーIはディレクターに声をかけた。

顔アイコン

「……エンディング作りませんか?」

据え置き機のゲームではラスボスを倒せばエンディングロールが流れる。
だが、ソシャゲ業界では、しっかりエンディングを作るものは少ない。

それは当然だ。
もう終わるタイトルに時間と金をかける余裕はないのだから。
だが、それでも自分が作ってきたゲームを中途半端に投げたくはなかった。

顔アイコン

「他のタスクも抱えているけど、大丈夫なの?」

顔アイコン

「大丈夫です! 工数はどうにか確保しますっ!」

ディレクターは小さく肩をすくめた。

顔アイコン

「よし、俺が上を説得してくる!」

エンドロール

エンディングの作成は認められ、デザイナーIは最後の仕事として全力を注いだ。
ゲームのラスボスを倒し、主人公たちの冒険は終わる。
そして、流れるエンドロール。

ネットの掲示板やお客様の反応は上々だった。

『最後までありがとう』
『今まで楽しめた』
『買い切りで販売してくれ』

そんな感想を見てからデザイナーIは、ブラウザを閉じる。
これで、気持ちに区切りがついた。

デザイナーIは他タイトルの作業を再開した。

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